大学や学部の選び方とは?文系理系学部の種類・特徴とは?受験のプロが解説!

大学、学部の選び方とは?文理はどうやって決める?受験のプロが解説!

大手大学進学予備校で今まで1000人以上の大学進学をお手伝いしてきた寺子屋です。

この記事では私の経験から下記についてお伝えします。

  • 大学・学部・文理選びの方法やコツ
  • 高校1年生のうちに知っておいてほしい大学・学部・文理選びのリスク
  • 文系学部・理系学部の種類と特徴
  • どうしても学部が決まらないときの考えるコツ
  • おすすめの学部診断

大学学部選びのノウハウを詰め込みました。
そのためこの記事は読み終わるまで10分程度かかります。
時間のある時にご覧ください。

時間がない方は目次から自分に必要な情報を探してお読みください!

大学・学部の選び方の前に!文系理系選びの方法は?どうやって決める?

文系理系選びについて私が提案したいのは「文系理系」⇒「学部」⇒「大学」という順番で決めるのではなくて、「学部」⇒「大学」といきなり学部から考える選び方です。

つまり文系か理系なのかは結果として決まっているという考え方です。

この方法のいいところは3つあります。

  1. 学部を先に決めてしまうことで、あとで思い直して文転や理転をしたくなるというリスクを減らせる
  2. 文系理系を考える時期=高校1年生=時間がある=学校に迫られて焦って決めることがなくなる
  3. 仮に学部を変更したいと途中で思い直しても修正ができる

ただし、将来について向き合わなければならない、という覚悟も必要です。
ある意味ではこれがデメリットとも言えるかもしれません。

文系理系というくくりは日本にしかない考え方

そもそも文系理系というくくりは日本にしかない概念です。


文系理系の英語訳はないのをご存知でしょうか。


無理やり「Science and Literature」と誤訳されることが多いですが、さてここであなたは「science」という言葉を聞いて、文系と理系のどちらのイメージを抱きましたか?

日本の教育を受けてきた多くの方は理系のイメージがあるのではないでしょうか。
「science」=「科学」=「学問」です。つまり文系も「科学」ということになります。
(literatureは単純に文学という意味です。文系という意味はありません。)

アメリカを始め諸外国では大学入学後1〜2年間教養を学びます。
つまり好きな授業を自由に受講できます。
そして3学年目に自分の専門としたい「学部」を決めるのです。
一度文系理系を決めてそこから学部を決めるということはありません。

そもそも文系理系という概念がないからです。

数学ができる=理系 数学ができない=文系という先入観

特に数学ができる人=理系という先入観がある方は今すぐ捨てましょう。

日本では文系に入る経済学部ですが、数学Ⅲの知識を当然のように求められます。
経営学部でも会計を学ぶ際は計算をします。
社会学では物理学の知識や統計学の知識が必要なときがあります。

多様性やグローバル化が叫ばれて久しいこの時代、自分を理系や文系という枠にはめて考えるのではなく、「何をしたいのか」、「何を学びたいのか」、「何をしている自分が好きなのか」、このような軸で学部選びから思い切って始めてみることをおすすめします。

ぜひ下記の学部の選び方を参考にご自身に最適な学部を見つけてみてください!

大学の学部選びはいつごろ考えればいい?

結論からお伝えすると、興味がある分野について人生設計に落とし込んでから決めることをオススメします。

具体的には下記を調査することをオススメします!

  • 各学部で学べる内容と将来の可能性
  • 仕事環境
  • 就職した際の年収
  • 独立や起業に役立つか
  • どんな生き方ができるか

すごくムズカシそう…と考えた方、安心してください。
それをアシストするための機能が世の中にはたくさんありますし、これからそれらの情報をこのサイトでも発信していきます。

具体的な方法はこのあと記載するとして、次はいつ頃学部選びを始めればいいのかオススメの時期をご紹介します。

ズバリ学部選びの時期は「文系理系選択の前=高1の夏休み」がオススメです!
※すでに文理選択が終わっている人は目次からご自身に必要な情報を選んでご覧ください。
特に文系理系学部の種類や特徴、在学中や将来の話は【必見】です。

高校受験が終わったばかりなのに…とお考えの方もいるでしょう。
気持ちはわかりますが、無理にでも一度頭を悩ませることを勧めます(ご相談あればコメント欄に記載ください。)。

なぜなら文系理系の選択の時点で将来の可能性のほとんどを一度は閉ざすことになりかねないからです。
(文系理系の選択を間違えてしまっても学習方法次第でなんとかなるので諦めないでください。)

自学で地理や歴史、数学Ⅲや理科の範囲を学ぶことは大変なため、あらかじめ大学で学ぶことや将来のプランを立てておかなければ大きな回り道をすることになる可能性があります。
(詳しくは下記をご参照ください。)

基本的に一度文系理系の選択をした場合、高校側はクラス変更を認めてくれません。

後からの変更を認めてしまうと他にも思い直して変更を求める生徒は多くいるためクラス運営が回らないためです。
であれば文系理系の選択の時期前に最終的には決めなければいけない学部選択を比較的時間が取れる高1夏休みに行うことをオススメします。

なぜ「大学の学部選び=高1の夏休み」?

高校のクラス分けシステムとは?制度上のリスクとは?

なぜ学部選びを高1の夏休みに行うべきなのでしょう。
実は日本のほとんどの高校はクラス分けシステムによって、高校1年生の後半に文系か理系か、高校2年生の後半に履修科目選択をすることになり、早い段階からある程度の選択肢が絞られていくためです。(中高一貫校はもっと早いことも)

順を追って説明します。
まず高1の文理選択の時点で各科目における学習単位が変わります。
文系は数学ⅡBまで理系は数学Ⅲまでといったように授業で習う範囲が異なります。

この時点で受験できる学部の数が一気に減ることになります。
さらに高2履修科目選択でどの授業を履修するかを決めます。

例えば文系なら日本史と倫理政経をメインで履修することに決めたり、世界史と日本史にしたり、日本史と倫理にしたり、理系なら物理と化学にしたり、生物と化学にしたりと様々な組み合わせを検討し、生徒はみなさん自分の適正や受験戦略を悩みながら最終的には一つに決めていくことになります。

また私立大学専願で受験することに決め、履修登録をしないで授業科目数を減らすという選択もここで行います。
(受験戦略的に選択科目をどう選べばいいのか、という話はまた次回以降にします。)
そうするとまたここで、受験できる学部の数や大学の数が減ることになるのです。

例えば、社会科目で倫理や現代社会を選択した場合、旧帝国大学群(北大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大)を始めとした多くの大学を受験できませんし、生物と化学を選択した場合、大学によっては建築学部や物理学部、一部の医学部などを受験できなくなります。

結果として、高校1・2年生の時点で先を見据えた選択をその都度していない生徒は文転や理転をすることになったり、あるいは学校で学習している内容とは別に独学で新しい科目を勉強することになってしまうこともあるのです。
(そういった生徒は意外にも多くいて、毎年少なくない人数が学外での学びを求めて来訪します。ただし、ガッツがあるため希望の大学に受かる生徒も数多くいます。医学部に合格した生徒もいました。)

ということは、実は高2の夏前までに、できるなら高1の夏前までに大学の学部を決めておくことを高校生たちは制度上求められているのです。
(私はここに理不尽さを感じます。アメリカや諸外国では大学入学後に学部選択をすることが多いです。)

大学の学部の選び方【4選】

下記に簡単かつ具体的な大学の学部の選び方を①~④まで記載しています。
私のおすすめは①です。

あまり意識をしないことですが、人は少しずつ可能性を減らしながら生きています。
可能性を減らしていく中で少しずつ大人になっていきます

高校1年生は今まで可能性のカタマリだったその原石を磨くことを人生で初めて社会から求められる時期なのです。
生まれてから中学生までは原石を育て、とにかく大きくすることを求められていたのに急に磨けと言われるわけです。

初めてのことですから当然戸惑います。
しかし、ぶっつけ本番いきなり形にする作業に移らなければならないのです。
文系理系の選択や学部選びはまさに原石を磨く行為に当たります。
一度始めてしまったら一部の行動力のカタマリのような人以外は修正ができない作業です。

さてそんな原石を磨く仕事、どこから削っていくのか、なんとなくで適当に決めるわけにはいきません。
決めた後に後悔している多くの生徒を見てきた私としては全力で向き合ってほしいと願っています。

具体的な方法① 日本にある全学部について興味のある学部から調べる。

まず大学の学部を大きく分類分けすると、下記の大分類で10学部系統(その他を除く)に分けられます。

参考:文部科学省 学校基本調査-令和3年度 付属資料 高等教育機関 学科系統分類表

  • 人文科学(文学、史学、哲学)
  • 社会科学(法学・政治学、商学・経済学、社会学)
  • 理学部(数学、物理学、化学、生物学、地学)
  • 工学(機械工学、電気通信工学、土木建築工学、応用化学、応用理学、原子力工学、鉱山学、金属工学、繊維工学、船舶工学、航空工学、経営工学、工芸学、)
  • 農学部(農学、農芸化学、農業工学、農業経済学、林学、林産学、獣医学・畜産学、水産学)
  • 保健(医学、歯学、薬学、看護学)
  • 商船(商船学)
  • 家政(家政学、食物学、被服学、住居学、児童学)
  • 教育(教育学、小学校課程、中学校課程、高等学校課程、特別教科課程、盲学校課程、聾学校課程、中等教育学校課程、養護学校課程、幼稚園課程、体育学課程、障害児教育課程、特別支援教育課程)
  • 芸術(美術、デザイン、音楽)

以上で全て網羅しています。
各大学ごとに見ると各学部学科系統に大学が様々な名前を付けていますが、基本的には上記のどれかに分類できます。名前を付けて研究室ごとに差別化を図っているにすぎません。


新しい学問分野が出てくることもありますが、大抵は上記に分類されます。

大学での学びに全く興味がない人以外は大抵の場合、上記の中に好きなテーマがいくつか含まれているかと思います。
そういった人はまずはその好きなテーマから自由にWEB検索または大学ポートレートを利用して調べてみてください。
そしてできればでいいので、できる限り多くの学部について調べてみてください。

大学ポートレート

ここで調べなければこの先の人生で他の可能性について考える機会は少ないことでしょう。
自分の人生についてあらゆる角度から想像してみることによって、自信をもって一つを決めてほしいと思います。
あの時こうしておけば…という後悔はあらゆる場面に潜んでいます。
可能性を考えるのが面倒だった、という後悔ほどイヤな後悔はないですから、全く興味がない学部でも一度調べてみてください。
案外新しい人生の可能性に気づきワクワクすることもあるかもしれません。

調べる際のポイントは下記の4点を軸に大学のホームページまたは大学ポートレートから調査してみてください。

  • 学べる内容(後述の具体的な方法②参照)
  • 卒業生たちの就職先や進路(大学院に行くのか、何で生計を立てるのか、就職先はどこか、起業や独立を目指す人はいるか)
  • 卒業生たちの仕事環境や就職した際の年収(ある程度の推定値でOK!)
  • どんな生き方ができるか(リモートワークで自由な働き方、地に足のついた安定した生活、あるいはグローバルに活躍、など)※重要

ツールとして大学ポートレートはオススメです。
各大学が共同で情報を提供し公的機関により運営されているため情報が正確で丁寧です。
編入や寮、奨学金、休学時の納付金の有無まで調べられるため大学について知りたいことはほとんど知れるでしょう。

ここまで調べられれば迷いなく自分の進路を決めることができるとは思いますが、何かと忙しいのが高校生です。
どうしても時間がない場合には文系理系から満遍なく3つずつ選んで調べてみてください。
時間がない中学生や高校生のためにこのサイトでも各学部について紹介していく予定です。

具体的な方法② シラバスを検索して学部で学ぶ具体的な内容のイメージをする

大学を出た後よりも大学で学ぶ内容自体に興味がある人も当然多くいるでしょう。
大学で具体的に学ぶ内容で学部を決めたい人は、

「行きたい大学の名称」+「シラバス」をインターネットで調べてみてください。

国立大学志望の方はこちらの国立大学協会のシラバス検索ページから直接各大学のシラバスを閲覧できます。

国立大学協会-国立大学のシラバス

これで様々な学部のシラバスを確認して、学びたい!と心から思える学問に出会えればその大学や学部を志望してみるのもよいでしょう。
大学も学部も何も思いつかないという人は試しに知っている大学の名前とシラバスで検索してみてください。

そもそもシラバスという言葉を初めて聞いたという方も多いかと思います。
シラバスとは簡単に言えば、大学の講義要項です。
つまり大学生たちが時間割を決める際に参考にする授業内容のデータや書類のことを言います。

例えば英文学部の中には音声学という授業がありますが、何をやっている授業か想像がつく人は少ないでしょう。
音声学というのは英語などの言語を発音する際の口の動きを研究するなど、言語として発せられる音についてその発生方法や音の仕組みなどを学ぶ学問です。
英語も含めて外国語の発音をよくしたい人は興味が持てる学問かもしれませんね。

具体的な方法③ 将来なりたい職業、取りたい資格、得たいスキルから学部を考える

将来なりたい職業や夢から考える

将来なりたい職業が決まっている場合、理系と文系では少し話が変わります。
理系の工学系や医療系の仕事は専門職であることが多く、名前が同系列の分野で学部が決まることが多いです。

例:IT系インフラ企業技術職⇒工学部電気電子工学科、化学薬品系企業研究職⇒工学部応用化学科など

一方で文系学部は総合職一括採用がほとんどのため学部に関わらず、4年制大学卒業見込みであれば誰でも企業の採用ページにエントリーできます。
総合職で採用されるため配属される部署もバラバラです。

なりたい職業があったとしてもその職業につけるかどうかは学部というよりは大学在学中含めて今までの経験次第です。
もちろん学歴も影響していくでしょう。


明確になりたい職業があった場合、実際にその職業に就いている人がどの大学のどの学部を卒業しているかを調査したり、大学在学中にどんな経験を積んだのかを個別に調べることが重要です。
SNSで直接コンタクトをとってみるのも面白いかもしれません。

取りたい資格から考える

取りたい資格がすでに決まっている人もいるでしょう。
そういった方はとても簡単に学部を考えることができます。
先ほど大学の選び方でも出てきた大学ポートレート、またはパスナビの大学検索河合塾の大学検索システムを使えば資格取得が可能な大学や学部を一覧で確認できます。

パスナビ大学検索
パスナビ大学検索
Kei-Net大学検索システム
河合塾Kei-Net大学検索システム

1つ注意があります。将来なりたい職業が決まっていない人でも資格について考えることは重要です。なぜなら資格によっては特定の学部や大学院を卒業していないと資格取得の受験資格が得られないことがあるからです。

例えば臨床心理士は心理学部のある大学院で修士号を取得していなければ国家資格を受験できませんし、国家医師資格や看護師資格などの医療系資格なども大学(看護師は短大・専門学校も可)や大学院を卒業していることが受験資格になります。

1級建築士は大学卒業後さらに2年の実務経験が必要です。
税理士は法律学や経済学の授業を履修していることが受験資格の一つとして認められています。

大学に入ってしまった後だと簡単には目指せない資格もあるので注意しましょう。

得たいスキルから考える

欲しいスキルから考える場合は注意が必要です。
得たいスキルがあったとしても必ずしも大学で学べるとは限らないからです。

例えばたくさんお金を稼げるスキルが欲しい!と考えたとします。
しかし、お金を稼ぐと言っても様々な方法があります。
アイデアをもとに起業してみたり、会社で学んだことを生かして独立してみたり、ブログやSNSの集客力を売りにアフィリエイトで稼いだり、youtubeの広告収入や、動画編集でスキルを売ったりというのがスキルを使ったお金の稼ぎ方の例です。

しかし、大学では上記のようなお金を稼ぐことに直結するスキルを学ぶ機会は乏しいと言えます。
大学はあくまで学問を学ぶところであり、言い換えれば、世の中の真理を科学するところだからです。近いことはできますが、直結する内容は難しいでしょう。

自分が得たいと考えているスキルがどうすれば学べるのか、大学で学ぶ内容にそもそもあるのかを考え、学べなければそのスキルを得たいと考えたきっかけや理由に戻り、自分の人生をよりよくするために大学という環境をどう活かせるのかを考えて学部選びを進めてみましょう。

個人的なオススメは大学で得られないスキルは別で学び、大学ではそのスキルと掛け算できるスキルを得ることで希少性の高い人材になることです。

具体的な方法④ 幸せな自分の状態を想像し、それに必要な要素を考える

みなさんにとって幸福だと思える状態はどんな状態でしょうか。
その幸福は何によってもたらされますか。
人から認められたとき、人から感謝されたとき、趣味に没頭しているとき、安心しているとき、お金をもらったとき、好きなことをしているとき、友達といるとき、など幸福の形は千差万別です。
その幸福を得るために必要な学びはなんでしょうか。

例えば、「人生をかけて趣味に没頭していたい」という幸せを求めるときに必要な環境はなんでしょうか。
住んでいる地域や仕事、年収が環境を決めるかもしれません。
できるだけ趣味に時間を割くためには時間に対する報酬額が高い方がいいですし、趣味がなんであれ住んでいる地域によって利便性が変わることでしょう。
そのように考えると将来の自分の姿が少しずつ見えてくるかもしれません。
おぼろげながらも見えた姿から大学での学びをどうしたいのか、考えてみるのもよいでしょう。

文系学部の種類と文系学部8つの特徴

「文系理系のくくりという先入観をまずは捨てましょう」とは言いましたが、とはいえ文理選択がすでに終わっている方もいることでしょう。

そういった方向けにここでは文系学部の種類と特徴を【簡単】にご紹介します。
文系学部は下のように5系統に分かれます。

  • 人文科学(文学、史学、哲学)
  • 社会科学(法学・政治学、商学・経済学、社会学)
  • 家政(家政学、被服学、児童学)
  • 教育(教育学、小学校課程、中学校課程、高等学校課程、特別教科課程、盲学校課程、聾学校課程、中等教育学校課程、養護学校課程、幼稚園課程、体育学課程、障害児教育課程、特別支援教育課程)
  • 芸術(美術、デザイン、音楽)

文系学部の特徴は下の8つです。

  1. 「人」に関わる何かを学ぶ科学
  2. 「人」に興味がある人が向いている
  3. 将来の進路は特に限定されない
  4. 理系に比べてかなり休みが多い(一年間の半分近くが休日)
  5. 技術職(手に職つけるのは難しい)になるのは難しい
  6. 在学中に資格を取ったり、自分でビジネスを始めたり、ブログを書いたり、Youtubeで配信したり、留学に行ったり、など種類を問わず、主体的に行動できないと就職活動で悩むことになる
  7. 就職した先では職種を選べない=総合職になることが多い(在学中に資格・スキルを身に付けた場合は別)
  8. 大学院に行く人はほとんどいない

こうしてみると、文系学部は「大学での学び=将来」に直結する訳ではないのが分かりますね。
どちらかというと「やりたいことに必要な学びを得るために行くところ」=「将来につながる手段の一つ」という意味が大きいように思えます。

あるいは大学は学問を修めるところと割り切って、学問として興味のある分野を学びにいく、つまり教養を得に行くのだと考えてしまってもよいでしょう。

文系学部を卒業した多くの人が学歴しか残らなかった、あるいは4年制大学卒業という履歴しか残らなかったということが多いのはそのためです。
何も考えずに大学を選択してしまうと卒業後に何も残らなかったということになりかねませんので気をつけてくださいね。

理系よりもむしろ主体的に人生について考える必要がある分、大学に入る前から何を目的として大学に入るのかを真剣に考える必要がありそうです。

割り切って「学歴のために大学に入る。学部はどこでもいい。」という考え方も将来を見すえての考えなのであれば私はそれでもいいと思います。

理系学部の種類と理系学部9つの特徴

「文系理系のくくりという先入観をまずは捨てましょう」とは言いましたが、とはいえ文理選択がすでに終わっている方もいることでしょう。

そういった方向けにここでは理系学部の種類と特徴を【簡単】にご紹介します。理系学部は下のように7系統に分かれます。

  • 理学部(数学、物理学、化学、生物学、地学)
  • 工学(機械工学、電気通信工学、土木建築工学、応用化学、応用理学、原子力工学、鉱山学、金属工学、繊維工学、船舶工学、航空工学、経営工学、工芸学、)
  • 農学部(農学、農芸化学、農業工学、農業経済学、林学、林産学、獣医学・畜産学、水産学)
  • 保健(医学、歯学、薬学、看護学)
  • 商船(商船学)
  • 家政(食物学、住居学)
  • 教育(教育学、小学校課程、中学校課程、高等学校課程、特別教科課程、盲学校課程、聾学校課程、中等教育学校課程、養護学校課程、幼稚園課程、体育学課程、障害児教育課程、特別支援教育課程)

理系学部の特徴は下の9つです。

  1. 「物」に関わる何かを学ぶ科学
  2. 「物」に興味がある人が向いている(教育関連・医療関連は異なる)
  3. 将来の進路が限定される
  4. 文系に比べて休みが少ない(特に理工学部は3年生以降は大学院卒業まで土日でも研究室に行くことが多い。その他の学部も資格取得の学習が忙しい。)
  5. 技術職(手に職を付けやすい)になるのは大学院卒業まで行けば比較的難しくはない
  6. 在学中に主体的に行動せずとも就職活動で悩むことはあまりない(教授のコネクションで大企業に行けることが多い。学歴があれば尚のことスムーズ。)
  7. 就職後の職種が決まっていることが多い=応募時点で職種が分かれていることが多い
  8. 大学院に行く人がほとんど
  9. 大学院に進学しない場合、扱いは文系と同じになる。(文系の記載をご参照ください。)

こうしてみると、理系学部は「大学での学び=将来」に直結するのが分かりますね。
文系学部とは対照的です。
一方で直結するからこそ途中の方向転換が難しいとも言えます。
理系学部を選ぶ前にまずはその進路で正しいのか慎重に考える必要があります。
理系を選ぶ可能性が高い人ほど学部選びから始めることをおすすめします。

本当にやりたいことが理系学部で見つかった場合、大学入学後は勉学に集中してさえいれば将来の可能性が広がっていきます。
ある意味でその後の人生は迷わず進めることでしょう。
もちろん人生の転換期ごとに選択することはありますが、大きな進路変更はないため、進路に悩む際も現在のような限りない選択肢から選ぶようなことはありません。
ある意味である程度のレールが敷かれた状態と言えるでしょう。

どうしても大学の学部が決められないときは? ①みらいぶっく学部診断を使ってみる

どうしても学部が決められないという高校生の方もたくさんいるかと思います。
そんなときはまず自分のことを知ることから始めてみましょう。
きっかけさえあればそれをヒントに意外な気付きが得られるかもしれません。

私がおすすめしているのは、河合塾のみらいぶっく相性診断(学部学科診断)です!

学部診断の画面

上の画像のように様々な質問が投げかけられるので、直感で「こっちだ!」と思ったものを選んでみてください。

何問かの質問に答えていくと私は下のような学部と相性がよいと診断されました。

学部診断の結果ページ

確かに今の私は経営やビジネスに興味が出てきたところなので、相性はピッタリと言えそうです!

さらに関連ページにいくと経営やビジネスに関する学部が様々でてきます。

経営システム・ビジネスの学部関連ページ

7つほど関連学部が出てきましたが、大きなくくりとしては「文系」「ビジネス」というところまで相性を診断してくれますので、受験科目は決まります。
科目が決まれば受験勉強をスタートさせる情報はそろったということですね。

シンプルな作りですが、実際に色んな生徒に試してみても合っているということが多かったので、どうしても「決まらない!」と悩んでいる方はまずはこの学部診断できっかけを作るのもよいのではないでしょうか。

みらいぶっくはこの他にも「本」「関心」「学問名」「大学名」「仕事」「学部学科名」など様々な観点からあなたに合う学びを発見するお手伝いをしてくれます。ぜひ一度利用してみてください!

みらいぶっく学問・大学ナビ

どうしても大学の学部を決められないときは? ②将来の夢がないとき

「将来の夢がなくて決まらない!」というあなたにおすすめなのは自分の好きなことをこれから紹介する方法でご両親や友達に話すことです。
どうしても一人でやりたい場合はスマホのメモ画面を使って考えたことをそのまま言葉に直してみましょう。

将来の夢がないときの学部の決め方

これから私(ご両親・友達)が聞く質問には必ず答えてください。どんな言葉を使って表現してもOKです。私(ご両親・友達)はあなたが伝えてくれたことを絶対に否定してはいけないとします。

あなたの好きなモノ(人・物・概念などなんでもOK)は何ですか?

例:サッカーが好き

その好きなモノを好きな理由は何ですか?

例:チームが1つになって1点を取ったときに感動するから好き

それはなぜですか?

例:一体感を感じると感動するから

それはなぜですか?

例:誰かと喜びを分かち合いたいから

それはなぜですか?

例:人は一人では生きられないと思うから。助け合って生きていくものだと思うから。

例えば、サッカーが好きなこの方の価値観は「助け合って生きていきたい」であることが分かります。

このように好きなモノに対してなぜ?と問いを繰り返すことによりその人が心から考える価値観が少しずつ顔を出してきます。
この質問と回答のセットをまた別の好きなモノに対して最低3回は繰り返してください。

そうして見えてきた価値観に沿った職業や将来の夢あるいは学部学科を探してみて下さい。
新たな発見が間違いなく見えてくるはずですよ。

塾に通っている方や進路の先生とお話する機会がある方は担当の方や先生と話してみるとよいでしょう。様々な視点からあなたに向いている将来の夢や可能性を教えてくれるかと思います。

どうしても大学の学部を決められないときは? ③高2夏休みまで持ち越す!

どうしても文系理系の選択前に学部を決められない場合には、高2夏休み期間に学部選びを持ち越すとして、順番通り文系理系選択から始めてみましょう。


文系理系の選択をする際に行うことは学部を選ぶときに行ったこととほとんど変わりません。
学部の選び方の具体例①を参考に文系と理系、どちらが魅力的なのかを考えてください。
ポイントは下記のような選び方をせず、単純に魅力的な方を選ぶことです。
あるいは学部診断などの適正診断を行ってみるのも一つの方法でしょう。

番外編 あまりよくない文系理系選択と学部選び
数学が得意=理系 数学が苦手=文系はダメ!

よく保護者の皆様から聞く言葉として、「うちの子は数学が苦手だから文系かな」あるいは「数学が得意だから手に職つけるために理系にしたら?」というような言葉を聞くことがあります。
実はこの言葉が子供たちの視野を狭めている可能性があるので要注意です。
生徒たちは保護者の意向に意識的であれ無意識的であれ影響されています。
それが最終的に自己評価につながり自分自身を決めつけてしまうことになるのです。

まずはまっさらな状態から学部やそこから広がる人生の可能性について調べてみましょう。
先入観のある状態ですと、どうしてもできる、できないが先に頭によぎってしまい心から自分が求める欲求が見えにくくなってしまいます。
まっさらな心境で調べた結果から単純に興味のあることや好きなこと、魅力的なこと、なんとなく気になることが出てきたら、どうしてそれを感じたのか自分なりに分析してみましょう。
それが自己理解へとつながり納得のいく未来の礎を築いてくれることでしょう。

数学が苦手であっても克服した生徒はいくらでもいます。
逆に数学が得意でもやりたいこととミスマッチしていたことに気づいて文転をした生徒もいます。
できるできないではなく、何をしている自分が好きになれるのかを真正面から考えてみて下さい。

大学選びの方法は?どうやって選べばいい?

実は大学を選ぶのは意外にも難しくありません。下記の条件さえ決まってしまえばすぐに志望大学群が決まります。
一方で本当に難しいのは文系理系、学部の決め方です。文系理系の選択、学部選択について知りたいという方はページの上部をご覧ください。

大学選びは「希望の地域」「模試の結果」「受験科目」で決まる

結論から先に伝えると、大学選びは学部選択の時点である程度の数に絞られ、「希望の地域」、それまでに学校で受験してきた「模試の結果」、「受験科目」でほぼ決まります。

「学部」「地域」「模試結果」「受験科目」が決まったらこのツールを使おう

大学の学部が決まれば、その先はあっという間です。

  • 日本全国どこの大学でもいいのか
  • 実家から通える範囲がいいのか
  • 受験科目はどれか(学部選択の時点でほぼ決まっています。)
  • 今までの模試の結果から挑戦したい大学のレベルはどの偏差値帯なのか

上記を検討します。
例えばさきほどのパスナビの大学検索ページ河合塾の大学検索システムを使えば、条件に適した大学が一覧表で確認できるので非常に便利です。

出てきた結果で仮の志望大学を念頭に置き、受験対策を練っていくのが次の段階になります。
大学の学部やレベルによって戦略が変わるため、志望大学が決まっている生徒はスタートが早く合格しやすくなります。

戦略が決まればあとは淡々と学習していくだけです。(それがまた難しいということはありますが…)

最後に。自分が選んだ文理や学部が間違いだったかもと不安な生徒へ

仮に、すでに高校3年生で受験勉強をしていても、大学に行っていたとしても、遠回りになるだけで人生はいくらでも修正が効きます。
ここまで繰り返しよく考えてといったのはあくまで最短ルートを通る場合を考えてのことです。

私の担当生徒や生徒の知り合いの中には他学部の大学卒業後に再受験して国公立大医学部に合格した方や30代で会社を辞めて医学部に合格した方など、大人になってから新しい人生を切り開いている方がたくさんいます。

人生にムダなことなど何もありません。
大学を休学して受験をしてもいい、バイトをしてお金を貯めてから予備校に通ってもいい、志さえあればいつでも再スタート可能です。
納得のいく人生を目指して常に前向きに、今できる最善を考えて行動していきましょう。応援しています!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です